パル日記

2014.11.05

エボラウイルス感染症(ペットへの対策)

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今年はかつてないほどエボラウイルスが猛威を振るっていて、感染者が1万人を超えるという深刻な事態に陥ってます{#emotions_dlg.112}
エボラウイルス自体は、アフリカで数年に一回発生していて、新聞の海外欄を注意してよく見ていると数行の短い記事が載ることがよくあります。

人畜共通伝染病なので、獣医の学生は必ず伝染病学でおなじみのウイルスです。
そしてこのウイルスを研究したり、発生した時の対処に、獣医師の資格を持つ研究者の方々がかなり関わっていることはあまり知られていない事実です。

画像で出てきた『ホットゾーン』はフルサワが大学時代に買った本です。
エボラウイルスが1985年にアメリカのワシントン近郊の実験用猿飼育施設で発生した時の、関係者の奮闘が描かれているノンフィクションですが、この中にも夫婦で米軍の研究施設に勤めている獣医師が出てきます。
1994年出版の古い本ですが、教科書ではわからないエボラウイルスの恐ろしさと、それに立ち向かった人々の勇敢さがとてもよく伝わってくる本でした。当時は微生物学研究室(細菌とかウイルスの研究するとこ)にいたので、将来こんな仕事をしたいな~と憧れた一冊でもあります。

今回のエボラ大流行はいまだ終息の兆しが見えないばかりか、現地の人々を治療に行った医師や看護師まで二次・三次感染して現地以外のアメリカやスペインでも大騒ぎになっています。
また残念なことに、スペインで感染した看護師の飼っていたワンちゃんが問答無用で安楽死されてしまったという悲しい事態も起きています。

これを受けてアメリカの獣医師会がもし『飼い主が感染してしまった場合の、飼い犬飼い猫への対策』を検討しているようです。
まだあまり実態がわかっていないウイルスなので、これが100%正しいとは言い切れないのですが、今のところわかっていることとしては

・これだけ大流行していても、犬猫から人間へ感染した事実はいまだ無い
・流行地での調査で、飼い犬の25%がエボラの抗体を持っていたので、犬へも感染するようだが発症はしないようだ
・感染した人や動物の体液を、ペットに触ったり食べさせてはいけない
・もし、飼い主が感染したら、飼い犬飼い猫は案楽殺ではなく、隔離検疫が望ましい
・ただし{#emotions_dlg.151}猿やコウモリは感染発症するので危険!!!(実験的にはモルモットへの感染発症も報告がある)

先日アメリカで二次感染した看護師が退院した後、飼い犬と嬉しそうに再会したニュースが流れてました{#emotions_dlg.098}このワンちゃんは人間と同じように抗体検査をして3週間隔離するという方法をとってもらったようです。

エボラはとても恐ろしいウイルスですが、関係者と周囲の人間の冷静な対応が大事になってくる感染症です。
遠い国の病気を思わずに理解をしていただけるとありがたいです。

フルフル