パル日記

2016.05.20

再発した甲状腺がんの摘出手術(゜o゜)

今回は首にできるがん、甲状腺がん(しかも再発)を摘出させてもらった患者さんのお話です(・。・;

 

実はこの子、3年前の最初の手術の時はまだフルサワが甲状腺がん摘出の経験が無くて、いつも手術を教えていただいている大学の先生に執刀していただきました。
その時に『再発する可能性もあるから、よく首のところを検診してあげてね』と、その先生から言われていたのでマメに検診に来ていただいていたのですが、3年後、先生の予告宣告どうり同じ場所に再発が見られました
(゜o゜)

しかも内分泌腫瘍の特徴でもあるのですが、こいつらは血管の中に入り込むのが大好き、という変な特徴を持っています。
案の定、再発した今回はCTで見ると頸静脈、顎静脈に腫瘍が浸潤しています。
(紫が再発した甲状腺癌で、赤いのが血管です)

アンちゃん甲状腺癌

CT画像診断の先生にも『けっこう大変だよ….』とコメント頂いていましたが、以前にもほかのがんで頸静脈を摘出したこともあり、わりと管系の手術が得意な自分としてはこれはぜひやるべきだろう、ということで手術させて頂きました。

以下の手術画像は、血が苦手な方は見ないでね(>_<)

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こういう手術の時はホントに3D-CTあると手術支援として便利ですヽ(^。^)ノ
切除範囲や血管の位置を確認しながらがんを剥離していきます。

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左側が頭側、右側が尾側です。血管に結紮糸をかけているところです

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頭側(顎静脈側)の腫瘍から切除しています

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とれましたヽ(^o^)丿

やはり濾胞性甲状腺がんの血管内浸潤でしたと病理の先生からコメント頂きました。
甲状腺癌は進行、再発がとてもゆっくりとしたがんですので、今回のように摘出可能な場合は手術により患者さんの寿命を大きく伸ばしてあげれる可能性があります。
ただし末期までまったく無症状のがんですので、気が付いた時には気管内や脊髄、肺へたくさん転移を起こしていて外科介入できない場合もあります。
できるだけ小さいうちに飼い主さんが気付く、または獣医師側が普通の検診の時に気付いてあげる事が早期発見につながります。
皆さんもご自分のわんちゃんの首の付け根下側(喉仏のちょっと下のところ)をときどきさわってチェックしてあげてください。
では元気になったこの子の可愛い画像をヽ(^。^)ノ

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ふるふる