パル日記

2016.12.01

パピーの心配な病気。ケンネルコフ ジアルジア感染症(>_

パピー(子犬)の頃にかかりやすい病気に、ケンネルコフという上部気道感染症がありあります。

おうちにもらわれてきたばかりでいきなりコンコン カッ、ケッケッ!などしつこい咳をしている子はたいていこのケンネルコフに感染していることが多いようです(>_<)
ケンネルコフの原因病原体は、予防接種の中に含まれているアデノウイルス、パラインフルエンザウイルスの他に、いまヒトのほうでも大流行しているマイコプラズマやその他の細菌などです。

免疫の弱いパピーの頃はこの風邪にかかりやすく、また適切な治療が遅れると肺炎や衰弱を引き起こして重篤な症状になることがあります。
またこの時期の子犬は下痢をしていなくても消化管寄生虫に感染していることが多く、風邪の治療と同時並行して適切な栄養管理、検便、駆虫が大事な治療のひとつになってきます。

下の画像はケンネルコフのパピーちゃんの検便結果。この子はジアルジアというアメーバ赤痢の親戚のような原虫という消化管寄生虫に感染していました(>_<)

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ジアルジアは以前は通常の検便ではなかなか検出できず診断に悩むことが多かった寄生虫疾患のひとつです。顕微鏡でしか見れませんがゲイラカイトのようなお顔をしています。検便のなかにゲイラカイトが飛んでいたら あっ!ジアルジアだ!とすぐ診断できるのですが、感染していても検便に出てこない時も多くあります。
今では上記のようなジアルジアの遺伝子検査キットで簡単に検出できるようになりました(^O^)/
パンフレットにもかかれていますが、ジアルジアは子犬のなんと33%に感染しているといわれています。

日本にある駆虫薬は長期間投与しないとジアルジアの駆虫ができないものが多いので、いまではパルでは海外からお薬を輸入して駆虫しています。うさぎさんにも使用する安全性の高い、しかもものすごく効果の良いお薬です。だいたい5~10日間ほどの投薬でジアルジア検査が陰性になります。
この話を(患者さんの)ペットショップのお姉さんにしたら、いいね~すごく効くね~と、とてもうらやましがられました。

蛇足になりますが、実は医薬品輸入手続きはたいへんめんどくさく手間のかかる作業です。しかも獣医師免許を持ってないと輸入できません。注文→税関で止められる(>_<)→輸入業者さんに協力していただいて農林水産省(もしくは厚生省)へ輸入許可願い・年間使用量・使用目的書類作成・提出→省から許可願い返送→税関へ許可願提出→ようやくお薬が届くシステムになってます(;一_一) 注文から手元にお薬が届くまで約1ヵ月弱かかるお仕事です。

ジアルジアはヒトにも感染する寄生虫です。ヒトでの重症感染例はあまり報告がないのですが、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では特に注意が必要になってきます。
安全にお子さんとパピーが触れ合っていただくためにも、できるだけ早くの検便、駆虫がおすすめされます。

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左の画像は今回ケンネルコフにかかってたポメラニアンの咲くんの人間のお兄ちゃん♡
いつもふたりで仲良くしているそうで、お兄ちゃんも柊や他のわんちゃんとも上手に遊んでくれてます♡
成長が楽しみなおふたりです(^。^)y-.。o○

フルフル