パル日記
耳がドラエモンに…..
今回は腫瘍ではないのですが、ちょっと珍しい病気の子です。
先月ぐらいから、両耳の端が真っ黒に硬くなってどんどん広がってきたとのことで診察に来られました。
よく見ると、耳の一番とがったところがミイラみたいになっています。
白い毛のねこちゃんでこの部分に炎症があるときは扁平上皮癌(もしくは前癌状態)も考えとかないと
いけません。
壊死部分と正常な耳の境目は、炎症を起こして痛そうでしたので、切除してから切った部位を病理検査して
白黒はっきり付けよう! ということになりました。
ネズミをよく捕りそうな、大きなお耳をしています。
ちなみにこの子、睾丸がひとつ下りてきていなく(陰睾といいます)て、他院で開腹手術したけれど
お腹の中の睾丸が見つからず、しかもまださかりが続いている、という経歴の持ち主でしたので、
耳の手術のついでに去勢手術もします。
どこに睾丸あるの?と思われるでしょうが、実は、よーく触診すると鼠径部にタマタマが…..。
(私が指でつまんでるとこです)
エコー検査で確認はしますが、触診は大事です!
睾丸は外にぶら下がっているものに比べると、この子のような皮下陰睾は4倍、お腹の中にある睾丸
は9倍も癌化しやすく、しかも精巣癌はたいがい悪性なので、取り残すことはせっかく手術を決心して
下さった飼い主さんや患者さんにとって、とてもよくないことだと思います。
では、お耳の手術の画像です。
血が苦手な方は、絶対に画面をクリックしないでね。
鎮痛処置をしてから、一気にスパッと切ります。
耳はギコギコ切ってしまうと、何というか、術後の傷口があんまりキレイではなくなってしまうので…
左右対称になるように切ってあげて、あとは可愛い感じになるように微調整します。
耳は顔の中でも目立つパーツなので、特に気を遣ってあげないといけません。
できあがりは、こんな感じ。
病理検査の結果は『壊死』でした。
冬場にダックスとかチワワとかが血管炎や血栓なんかで耳の縁が壊死してとれてくることが
よくあるのですが、病態的にはそれとよく似ていると、病理の先生にコメントいただきました。
今後は再発しないかどうか、見守っていかないといけません。でも、がんじゃなくて良かった…..
ところで、手術前に、うちの看護師さん達が
『ドラエモンなっちゃうの?耳無くなっちゃうの?』
と、とても心配していまいたが、仕上がりは↓の画像のような、ちょっと丸い可愛い耳になります。
もともとかなり耳が大きい子だったので、ちょっと切ってもあまり目立たず幸いでした。 ふるふる
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