パル日記
2015.07.09
尿管結石と思いきや・・・
こんにちは、獣医師の宮本です。
今回はねこちゃんでときどき遭遇する、尿管結石でちょっと珍しい子がいたので紹介したいと思います。
ねこちゃんの尿管結石は、比較的若齢から中年齢の純血の子に多く、普段の診療でときどき遭遇します(もちろん雑種の子でも起こります)。症状としては、尿管に石が詰まることで腎臓から尿が膀胱に行かなくなることで、腎臓が尿でパンパンになる水腎症を起こし脱水や元気食欲の低下など腎不全の症状が起こります。治療法としては、詰まっているものの大きさや場所、腎臓のダメージ度合いによって様々で、内科療法で治ったり外科的な処置が必要だったりなかなか手が出せなかったり、その時の状態で決まってきます。
今回遭遇した子は、何となく調子が悪い、吐いた、ということで来院され、検査を行ったところ腎臓の数値が軽度上昇し、エコー検査で腎臓の構造がおかしくなっていました。皮下点滴などの対症療法を行いましたがあまり改善が得られなかったため、数日後にCT検査を行いました。
その時の状態です。膀胱の近くに尿管結石があり、そこが閉塞していました。腎臓もやや水腎症になっていました。ただ、ここで特記すべきは、”異常な血管”です。この子は実は生まれつき血管に異常があり、もしかするとそのせいで結石ができていたかもしれないのです。
病名としては、「先天性肝外単一血管性卵巣静脈経由門脈後大静脈シャント」・・・長いですね。次の回では門脈のシャント血管について書こうと思うので、説明は次回にします!
ちなみに、この子は点滴の治療などで石が膀胱まで通ってくれたので、今は元気に過ごしています。よかったです。これから再発がないかしっかりみていかないとです
それでは!
宮本
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