パル日記

2014.02.23

血液検査の肝臓の数値

今回、ご紹介するお話は、血液検査の数値で特に肝臓の数値についてです。
治療のため悪戦苦闘してやっとの事で正常範囲まで落ち着く事の出来ました。

事の始まりは体調不良と肝酵素の上昇で他院で治療をし、縁あって当院に来院された方です。
はじめの2ヶ月間は、治療に対していろんな角度から投薬の種類を変更し、
結果は一進一退でした。その後、肝臓に隣接する胆嚢という臓器が、粘液嚢腫という
状態になり手術を行い、同時に肝臓の生検という検査も行いました。
結局、行った検査は、一般血液検査、炎症反応血液検査、肝臓の特殊血液検査、
エコー検査、肝生検とたくさんの検査を行い、それに基づき治療を行ってようやく
全部の数値が正常化しました。その期間は約半年間かかりました。
驚く事にその間の9割くらいの期間は、元気、食欲があった事なのです。
肝臓は沈黙の臓器と言われています。肝臓は悪いのに、症状として現れず、外見上は
健康に見える事がとても怖い事。気付けずに放置してしまうと肝臓は痛んでしまい
肝硬変という元に戻れない状態になってしまうこともあります。

このわんちゃんは良好でしたが、2ヶ月前より数値が上昇してきていまは落ち着きつつ
あります。
長い戦いになりますが、患者さんの飼い主さんが病気への理解を深めてくれて
しっかりついてきてくれた事、結果的にいい方向に持っていけた事、担当医として
とてもうれしく思います。
二宮

20140223164035.png
肝臓の3系統の数値の変化のグラフです。横軸は約1年分の経過になります。 
正常範囲と書いた上の白い領域でも十分高値ですが、治療初期はそれをさらに
上回る領域まで高値になっています。