パル日記

2013.08.22

症例報告会(排尿困難のワンちゃん)

この間のブログの続き、北九州・筑豊合同症例報告会で発表させてもらった患者さんです{#emotions_dlg.104}

もともと排尿筋の衰えがあった子ですが、ある日、尿道のたるみからくる尿道の折れ曲がりと炎症が原因でおしっこがまったく出せなくなってしまいました
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矢印のとこが折れ曲がった尿道です。

このままではおしっこが出なくて急性腎不全になって命の危険もあります。
ということで、緊急手術になりました。

この日は、どういうわけだかとても手術が立て込んでいて、お昼の手術時間では足りずに夕方からからモルモットとうさぎの手術をして、最後にこの子の手術になりました{#emotions_dlg.118}
深夜まで手術に付き合ってくれた先生たち、どうもありがとう……

麻酔かけて毛刈りした状態です。
お腹が膀胱でパンパンにふくれています。
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※ここから先は手術画像です!血が苦手な方は画像をクリックしないで下さい。

お腹開けると、おへそのところまでおしっこでパンパンの膀胱が出てきました。
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原因の尿道はここです。内腔が硬く狭くなっていました。
DSC_6769.jpg

この尿道を切開して、炎症で石のように硬くなってる部位を取り除いて縫合します。
ただ、また尿道が固く狭くなる場合があるので、迂回路を造ってあげることにしました。

尿道のがんなどの時に行う手術ですが、尿道の一部と膣をつなげておしっこがそこからも出るようにします。
ワンちゃんは人間と違ってもともと尿道が膣の途中から一緒になっているような構造をしていますので、この手術をしても排尿の時に違和感をかんじるようなことはありません。

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この状態から

尿道を切開します
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膣側も切開します
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矢印のところで尿道と膣がつながりました
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このあと、緩んでいた膀胱を腹筋に固定したり、入院中に胃捻転になってまた手術したりとけっこう経過は大変だったのですが、今ではお散歩中、たいへん気持ちよくおしっこできるようになるまで回復されました。
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ほんとに良かったです{#emotions_dlg.125} ふるふる